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TEGE TEGE BIYORI てげてげ日和

大自然に恵まれ、豊かな食、
魅力的な人が集まる南国・鹿児島—。
「てげてげ日和」では、
鹿児島生活8年目のライター・
やましたよしみが、
鹿児島の素敵な人・モノ・風景などを
ご紹介します。

2016.04.26

【第2回】鹿児島で生まれ育った、鹿児島在住の人気イラストレーター・江夏潤一さん。その暮らしと仕事のこと、頭の中のイメージとは?


今回会いに行ったのは、鹿児島を代表するクリエイターのひとりでイラストレーターの江夏潤一さん。力が抜けた朗らかなイラストからはどこか洗練された雰囲気が漂い、現在、人気雑誌を中心に活躍されている。鹿児島で生まれ育ち、鹿児島を拠点として仕事をする江夏さんに、イラストレーターを志したきっかけや仕事へのこだわり、鹿児島で活動を続ける理由などをうかがいました。

4月某日、取材の約束をしたお店へ行くとまさかのお休み。どうしようかとお店の周りをぐるぐるしていると江夏さんが登場した。数年ぶりの再会、簡単なあいさつの後「別のお店へ行きましょうか」などと会話をしながら近くの2~3軒をめぐるものの、ことごとく定休日。そこで思い出す。

彼のTwitterのトップページである。確かに。

彼のTwitterのトップページである。確かに。

ようやく開いているお店にたどり着き、食事を済ませて取材を始めたころ、お店のランチタイムが終了した。店主と奥さんの目配せに気づかず、グイグイ話し続ける私に「と、とりあえず出ましょうか」と江夏さん。お店を出ると、今度は道に迷うドイツ人観光客に遭遇する。英語で場所を説明するも、なかなか理解してもらえない様子に「大きな通りまで案内します」と、随所に鹿児島人らしいホスピタリティをみせる。

 

即興での似顔絵がイラストレーターとしての始まり?

映画好きの両親のもとに育ったという江夏さん。「大学へ行くなら美術や映画の道に進みたかった」と鹿児島大学の教育学部で美術を学んだ。初めて作品がお金になったのも大学在学中。「2001年に照国神社で開催されたアートマーケットに出展したんです。でも全然売れなくて。あまりに暇だったので持っていたハガキと墨で似顔絵を描くことにしたんです。ほかにも似顔絵を描いている人がいたのでそれを真似て」と笑う江夏さん。彼が出展した先で描く似顔絵にはファンも多く、SNSなどで自分のアイコンにしている人もいるほどだ。「似てない似顔絵なのにありがたいですね。でも、似顔絵って似過ぎていると気持ち悪いでしょう。家に飾れるくらいの“ちょうどいいもの”を描こうと思っています」と、どこまでもリラックスしている。

西郷さんに偶然似たので #illustrationlesson #illustration #art #kagoshima #japan #inkpen #pen

A photo posted by koka (@kokajunichi) on


▲似ているけれど、似すぎない、絶妙なイラスト。

 

映画からインスピレーションを得て

江夏さん自身も映画が好きだというが、「映画論っていうより、映画をボーッと観る時間が好きですね」と話す。どんな風に映画を観ているのかと聞くと「監督の空気感のつくり方や色づかい、スクリーンのレイアウトを観る」のだという。それは、自身のイラストへの関わりかたにも通ずる。「まずは誌面がより良く見えるように。映画に例えるならイラストは大道具や小道具で、誌面を演出するもののひとつだと考えています」。さらに、イラストを描くときに心がけていることをうかがうと「盛り込み過ぎないこと。引き算的な考え方」だという。「8割の正解を描いたら、あとの2割は見る人が埋めてくれる。想像で遊ぶような余白をもたせるようにしています」。

TIME THIEVES 時間泥棒。もう三時半。 #illustration #drawing #art #illustrationlesson

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春まであと少し。眠く。 #illustration #drawing

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▲写真投稿サイトInstagram(@kokajunichi)には江夏さんの日常のできごとや、頭の中で考えたことなどのイラストが毎日のように投稿されている。

 

自然体でいられる地元・鹿児島を拠点に

フリーランスのイラストレーターというと日本全国、はたまた世界中どこにいてもインターネット環境さえ整っていれば仕事ができる、というイメージがある。ところが、江夏さんはいう。「普段通りでいられる場所で描きたいんです。僕にとっては特別じゃないところで描くことが大事なんです」。だからこそ、彼は生まれ育った鹿児島で暮らし、仕事をしていく。「環境のストレスに弱いんです。環境に左右されないことで自分を客観視できるし、ときどき基本の自分を見つめ直す」とも話してくれた。

雨上がりで空気が澄んでて、桜島が見たことないくらいくっきり見える。

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まだ寒い

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▲時折Instagramにアップされる桜島の写真に暮らしの断片を感じる。

とはいえ、今後についてうかがうと海外の仕事や、海外に移住することも視野に入れているとのこと。あとは「馬鹿らしいこともしていきたいですね」と笑う。「今は“意味のあること”が多過ぎると思うんです。だから意味のないことやダメな感じのイベントもしていきたい」。「ほかには?」と尋ねると「実家が不動産屋さんをしていたので、不動産屋さんもしてみたい。不動産業ってイラストに似てると思うんですよ。風景をつくる仕事なんです。かわいいマンションってないでしょう? だから自分の気に入った土地にかわいい建物を建てて売るっていう不動産屋さんですね」と頭の中のイメージを語ってくれた。そのイマジネーションに彼のユーモアと、鋭さと朗らかさ、特別なセンスを垣間みた気がした。

「てげてげ日和」の取材に終始笑顔で対応してくださった江夏さん。結局、行きたいお店はお休みで、取材は桜島を望むファーストフード店のテラスで行われた。彼が明日行くお店が開いていることを願うばかりである。

「てげてげ日和」のために今回の取材の様子を描きおろしてくださった。(感激!)

「てげてげ日和」のために今回の取材の様子を描きおろしてくださった。(感激!)

▼プロフィール

江夏潤一(コウカジュンイチ)

1979年生まれ。鹿児島県出身。鹿児島大学教育学部卒業。鹿児島を拠点に県内外のイラストレーションを手がけている。鹿児島県内のショップやカフェなどで、さまざまな分野のつくり手が作品を発表するフェア「ash(アッシュ)」にも参加。お皿にイラストを描いた作品も人気を博している。
Instagram  https://www.instagram.com/kokajunichi/

取材・執筆
やましたよしみ

フリーランスの編集者・ライター。鹿児島県薩摩川内市在住。浜松市出身。
大学卒業後、IT関連企業を経て、出版社、編集プロダクションに勤務。
主に女性向けフリーペーパーや実用書、育児情報誌などを制作。
2011年、東京から鹿児島へ移住。2012年よりフリーランスとして活動している。
得意分野は、食と暮らし、アート。二児の母でもある。
■ブログ http://yamashitayoshimi.blogspot.jp

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