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TEGE TEGE BIYORI てげてげ日和

大自然に恵まれ、豊かな食、
魅力的な人が集まる南国・鹿児島—。
「てげてげ日和」では、
鹿児島生活7年目のライター・
やましたよしみが、
鹿児島の素敵な人・モノ・風景などを
ご紹介します。

2016.03.28

【第1回】まるでお皿に彩られた絵画。日本一の大楠の麓・蒲生町「スーベニア」で、カレーとともに生きる人


「♯カレーと生きる」。彼女の写真投稿サイトInstagram(@nagisa_kaiki)にはこうタグ付けされたカレーの写真がずらりと並ぶ。まあるいお皿に色彩豊かに盛りつけられたインドカレーやサラダ、ピクルスは、まるで絵画のような印象を受ける。自己紹介文に「Souvenirカフェ(カレー)担当」と記しているのは、フードコーディネーターの海木渚さん。鹿児島有数の観光地のひとつでもある日本一の大楠の麓、鹿児島県姶良市蒲生町のアンティーク&ヴィンテージ【Souvenir(スーベニア)】で年明けからカフェを担当している。

20代で抱いた夢、30代で叶えるまで

photo/やましたよしみ

photo/やましたよしみ

大分県出身の彼女は大学時代を大阪で過ごし、カフェブームの最中「いつか私もカフェやギャラリーのような“場所”をつくりたい」と夢を抱いた。ほどなく上京し、派遣社員として働いていたころ、インドカレーづくりのワークショップに参加する。そこで複数のスパイスから繰り出されるインドカレーに魅了された。その後、フードコーディネーターの資格を取得すると、ほかにも食にまつわるワークショップなどに多数参加したという。「食にどん欲な仲間がたくさんできて楽しくて。もっと食について深掘りしていきたい」と同時に、「30代は食べること、作ることを仕事にしていきたい」と考えるようになったそう。

海木さんが鹿児島で暮らすことになったきっかけも“食”である。東日本大震災以降、食の安全に関する様々な情報が錯綜するなか「見えないものへの恐怖を感じた」と彼女は言う。日々の暮らしで食材を選ぶときに東北で農家をしている友人らの顔が浮かんだり、疑心暗鬼になってしまったりすることはストレスとなっていった。料理家のアシスタントをしたり、食のイベントを手伝ったり、フリーランスのフードコーディネーターとして活動を始めてしばらく経ったころ、「大阪のクラブイベントでカレーを担当したときに市場へ行ったら、どの野菜もほとんどが西日本のものだった。そこで気づいたんです。ストレスを感じながら食材を選ぶならば“私が西日本へ帰ればいい”って」と海木さんは話す。そして、縁あって鹿児島へ。

鹿児島を訪れたのは2013年5月。地域おこし協力隊として三年という期限付きで薩摩川内市の温泉街・市比野に配属された。「協力隊としては地域の生産者や企業と一緒にイベントを開催したり、特産品開発をしたりしました」。任期中に彼女が手がけた商品には、お茶のさくら園の“ごぼっ茶お”や、福寿堂と田苑酒造が共同開発した“田苑まんじゅう”などがある。任期が残り一年を過ぎたあたりから次の動きを考えるように。「大分に帰ろうかなとも思ったんですよ。実家のビルを改装してお店をやろうかなとか考えて」。でも、結果的に鹿児島に残ることにしたのは、スーベニアのオーナーから声がかかったから。

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以上4枚:photo/海木渚

以上4枚:photo/海木渚

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店内にあるアイテムはプライスカードがついていたり、いなかったり。お気に入りを見つけたらオーナーか海木さんに声をかけて(以上3枚:photo/やましたよしみ)

店内にあるアイテムはプライスカードがついていたり、いなかったり。お気に入りを見つけたらオーナーか海木さんに声をかけて(以上3枚:photo/やましたよしみ)

ルールはおいしさに忠実であること

ヨーロッパのアイテムを取り扱うスーベニアだが、“なぜインドカレーなのか?”との問いに、「自信があるものを提供したかったし、オーナーもカレーが好きだから」と、海木さん。食材やスパイスは「選べるならなるべく良いものを選びたい」というが、これには彼女なりのルールがある。「作り慣れたものを作るために鹿児島で手に入らない食材を無理して東京から取り寄せたこともあるんです。でも、これって何か不自然だなと思って。例えば、しなびた有機野菜と採れたての慣行栽培の野菜だったら新鮮なものを選びたい。もちろん地元の農家さんがつくる顔の見える野菜があればそちらを選ぶ」。すべてを裏付けるのは「それがおいしいと思うから」ということ。おいしさに忠実であることが彼女にとってのルールであり、自然なことなのだ。

ひと皿に“甘味・辛味・酸味・苦味・塩味”の五味がそろっていて、味、見た目のバランスともに計算されている(photo/海木渚 )

ひと皿に“甘味・辛味・酸味・苦味・塩味”の五味がそろっていて、味、見た目のバランスともに計算されている(photo/海木渚 )

カレーを提供するときは「一人ひとりのお客さまにしっかり説明したい」という海木さん(photo/やましたよしみ)

カレーを提供するときは「一人ひとりのお客さまにしっかり説明したい」という海木さん(photo/やましたよしみ)

「私がやるべきことは、スーベニアで営業日にカレーを出すこと」。学生時代に漠然と抱いた“場所”を見つけ、“30代は食べること、作ることを仕事に”という夢を叶えた彼女ははっきりと言い切る。季節や彼女の気分で替わる魅惑的なカレー。ワンプレートに盛られた2種のカレーと付け合わせなどは「それぞれ食べても混ぜて食べても、お客さまのお好みで。苦手なものがあれば伝えてもらえたら考えます。でも無理ならお断りします」と笑う。彼女と話しているとよくいる“飲食店の経営者”や“カフェのキッチン担当”とはずいぶん遠いところにいる気がする。それは真っすぐで誠実で、それでいて自然な流れに身を任せるフレキシブルさを持ち合わせた彼女の人柄がカレーにそのまま表れているからだろう。「実はまだインドには行ったことがないんです。来年にはインドへカレー修行に行こうと思って」と語る彼女の横顔は、まさにカレーとともに生きている。

みなさまのお越しをお待ちしています!(photo/代宮司育代)

みなさまのお越しをお待ちしています!(photo/代宮司育代)

▼店舗情報
Souvenir(スーベニア)
鹿児島市姶良町蒲生町上久徳2307-5
TEL 090-8406-1888(雑貨/オーナー・福留)
090-1950-2556(カフェ/海木)
営業時間 12:00~18:00(OS17:30)
定休日 不定休
https://www.facebook.com/Souvenir-102058390175424/

▼イベント情報
「G-celtと豊田耕三 鹿児島ツアー at Souvenir」
2016年3月30日(水)18:30〜
https://www.facebook.com/events/1066676170085407/

みんなで詩を綴り、カレーを食べる春「言葉と、ルー」
2016年4月16日(土)二部開催
○Daytime(11:00~)
https://www.facebook.com/events/280495752281436/
○Nighttime(19:00~)
https://www.facebook.com/events/1718345941770583/

取材・執筆
やましたよしみ

フリーランスの編集者・ライター。鹿児島県薩摩川内市在住。浜松市出身。
大学卒業後、IT関連企業を経て、出版社、編集プロダクションに勤務。
主に女性向けフリーペーパーや実用書、育児情報誌などを制作。
2011年、東京から鹿児島へ移住。2012年よりフリーランスとして活動している。
得意分野は、食と暮らし、アート。一児の母でもある。
■ブログ http://yamashitayoshimi.blogspot.jp

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