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TEGE TEGE BIYORI てげてげ日和

大自然に恵まれ、豊かな食、
魅力的な人が集まる南国・鹿児島—。
「てげてげ日和」では、
鹿児島生活7年目のライター・
やましたよしみが、
鹿児島の素敵な人・モノ・風景などを
ご紹介します。

2016.08.01

【第5回】音楽・移動映画・落語会・料理・刺繍ーー、鹿児島で多彩な活動を展開する下池奈津子さん。彼女が見ているその世界。


初めて会った彼女は唄っていた。まるで楽器のように声を操り、心地良さそうに曲を奏でていた。どんな場所のどんなイベントだったかのか記憶は曖昧なのだが、唄う彼女の姿だけは脳裏にはっきりと焼きついている。それは音楽に明るくない私でも彼女自身が「音楽」である、ということが理解できるワンシーンだった。それが2012年のことである。

彼女は下池奈津子さん。鹿児島市出身で2011年の年の瀬に東京からUターンしてきた。現在はBLACK TAPEというバンドのヴォーカルを担い、最近は家業の子会社の刺繍屋の代表も務める。また、プチシネマという移動映画を主宰し、プチシネマ寄席という落語会も行う。さらに、料理人としてTablesというユニットで活動することや、南日本新聞に書評を寄稿することも。一体何足のわらじを履いているのか。私には彼女がスーパーウーマンに思えてしかたない。今回の「てげてげ日和」では、彼女の“これまで”と“これから”に迫ることにした。

友人からの言葉で意識が変わる

まずは移動映画・プチシネマについて聞いた。

「鹿児島に帰ってきてカフェで働いているときに、オーナー夫妻から“2階のホールを有効活用できないか”という話があって。そこからプチシネマは始まったんです」と下池さん。当初、資金面の問題でなかなかスタートできずにいると、カフェのお客さんが資金を半分支援してくれたそう。それでも最初は単発のつもりだった。それが離島で暮らす友人の言葉で意識がガラリと変わったという。「最初は、ただ良い映画を観せたいっていう想いだけだったんです。けれど、島の友人から“みんなで集まる場所がないから、映画を機会に集まれることはとてもうれしい”と言われて。ハッとしましたね。そこからプチシネマは“知らない人同士が集まる場を提供し、つながりをもってもらう”という意義を見出だしました」。以後プチシネマは、映画館まで片道数時間もかかる地域や、映画館のない離島などでの開催も多く実施している。

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さまざまな会場で実施されるプチシネマ。遠方まで足を運ぶファンも多い。(photo by Masafumi Obara)

さまざまな会場で実施されるプチシネマ。遠方まで足を運ぶファンも多い。(photo by Masafumi Obara)

では、プチシネマ寄席はどうだろう。

「もともと彼氏が落語ファンで…」と彼女は話し始めた。「落語って敷居が高いと思われがちですし、苦手意識をもってる人も多いと思うんです。でも、彼の影響で落語を聞き始めたらハマってしまって。それに落語はセットのない生きた映画だと思うんです。これは後づけでもあるんですけど」と下池さんは笑う。実際、鹿児島にはプチシネマ寄席で初めて落語に触れたという人が多くいる。それは彼女がデザインした告知用フライヤーを見れば、その理由がなんとなくわかる。落語という伝統的なものに、現代的でポップな印象を付け加えたのだ。彼女は「デザインは完全に独学。でもつくりたいものが見えていたし、予算もなかったので自分でつくろうと思って」とサラリと言うが、そのデザインはキラリと光る。

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落語家とお客さんの距離が近いのがプチシネマ寄席の特長でもある。(photo by Hiroki Isohata)

落語家とお客さんの距離が近いのがプチシネマ寄席の特長でもある。(photo by Hiroki Isohata)

彼女が手がけたフライヤー。毎回どんなデザインか楽しみ!

彼女が手がけたフライヤー。毎回どんなデザインか楽しみ!

それから、インスタグラム上で突如「刺繍はじめました」とアップされたときには驚いたのだが…。「NSコーポレーションという刺繍の会社なんです。家族が決めてくれた社名で。おそらくNatsuko ShimoikeのNSですね(笑)。“EVERYDAY EMBROIDERY”という自分のラインを立ち上げたので、今後はオリジナルもつくっていきます!」と言うので、あらためて小柄で華奢な彼女のどこにそんなパワーがあるのか不思議に思った。

「いろんなことができるのも鹿児島に帰って来て5年目の今だから」と下池さん。(photo by Masafumi Obara)

「いろんなことができるのも鹿児島に帰って来て5年目の今だから」と下池さん。(photo by Masafumi Obara)

初めて会った日に感じたものは間違ってはいなかった。鹿児島には彼女の才能から暮らしの楽しみを享受している人がたくさんいる。多才で行動力があって、センスの良いとても魅力的な女性だと思っている人も多いだろう。それはある意味正しくて、ある意味間違っている。彼女は何をしていても音楽の人であり、彼女自身が音楽だからだ。今回あらためて彼女と話してみて、鹿児島の光がいつか世界の光となるよう願わずにはいられない。

▼Youtube

「うしぶかマルシェ×ながしまジャメビュ キビルフェス/フクドメアツミ」

▼イベント情報
2016年8月20日(土)に開催されるGOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2016にて、
リベルテ×プチシネマの合同上映会を実施予定。
詳細はGOOD NEIGHBORS JAMBOREE 2016のウェブサイトをチェック!
http://goodneighborsjamboree.com/2016/

取材・執筆
やましたよしみ

フリーランスの編集者・ライター。鹿児島県薩摩川内市在住。浜松市出身。
大学卒業後、IT関連企業を経て、出版社、編集プロダクションに勤務。
主に女性向けフリーペーパーや実用書、育児情報誌などを制作。
2011年、東京から鹿児島へ移住。2012年よりフリーランスとして活動している。
得意分野は、食と暮らし、アート。一児の母でもある。
■ブログ http://yamashitayoshimi.blogspot.jp

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