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TEGE TEGE BIYORI てげてげ日和

大自然に恵まれ、豊かな食、
魅力的な人が集まる南国・鹿児島—。
「てげてげ日和」では、
鹿児島生活7年目のライター・
やましたよしみが、
鹿児島の素敵な人・モノ・風景などを
ご紹介します。

2016.07.01

【第4回】名山町に新しくできたお店、知ってますか?


〈13:30〉海辺の小さな町を出て国道3号線を南下する。十数年ペーパードライバーだった私も、鹿児島へ移住してからすっかり車の運転が板についてきた。生後10カ月の息子を夫に預けての久しぶりのロングドライブ。ひとりで高速に乗るのは未だに緊張するけれど、家に置いてきたふたりを心配しつつ、「彼らに会ったらあれを聞こう、これも聞こう」と考えていたら、あっという間に鹿児島市内へ着く。

〈14:40〉無事に駐車場へ車をとめる。正直、これが一番の心配事であったが、なんとかクリア。(ホッ)。鹿児島市名山町に新たにオープンしたばかりのお店「HAY grill & coffee」を目指して歩く。名山町は今も風情ある街並が残された貴重な町だ。かつて友達が営んでいたお店や事務所の跡を懐かしみながら、久しぶりに会う友人夫妻のことを思う。約束の時間より少しはやく「HAY grill & coffee」に到着。すると、オーナーである林賢太さん・真紀さんがいつもと変わらぬ様子で迎え入れてくれた。「あれ? ひとり?」と真紀さん。夫と息子は留守番だと伝えると、久々に私の息子に会えるのを楽しみにしてくれていたのか、少しがっかりされたような気がした。かくいう私は、取材でありながらも貴重なひとり時間に心躍る。

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名山町の一角にある「HAY grill & coffee」。入り口の佇まいがかわいい。(photo by oggysonic)

名山町の一角にある「HAY grill & coffee」。入り口の佇まいがかわいい。(photo by oggysonic)

仲間たちとセルフビルドした心地よい店内

〈15:00〉店内をぐるりと見渡し、世間話をしたり、写真を撮ったりしながら取材スタート。賢太さんが仲間たちとセルフリノベーションした内装は「1920~30年代のニューオリンズのバーのイメージ」なのだとか。店内にはキッチンがドーンとあり、あとはカウンター席4席、テーブル席6席、彼らが“縁側”と呼ぶ窓際の席が4席のみ。キッチンと客席に段差はなく、「おうちと同じような感覚」だと真紀さんはいう。さらに、メニューは主に家庭料理で、手間を惜しまずお店の味を表現しているのだそう。使用している食材は鹿児島県産のものばかりで、そのほとんどを友人や知人が営む専門店から仕入れている。「食材選びは“人”から入ってるかな。人となりがわかれば安心だし、その人が扱っているものもいい」と賢太さん。取材中も夜に入っている予約の仕込みをテキパキと手際よく行う。

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「食材や味付けはお客さんの好みに合わせることもある」と真紀さん。(photo by oggysonic)

「食材や味付けはお客さんの好みに合わせることもある」と真紀さん。(photo by oggysonic)

サロンのような機能をもつお店とシェアオフィス

15:40〉お店の2階のシェアオフィスに事務所を構える、映像作家の小久保葵さんが自転車でやって来た。「お腹減った~」と、キッチンの片隅で軽食を作り出す。彼女にオフィスの居心地を尋ねると「名山町は最高だし、HAYの上っていうのがいい。仕事の相談をしたり、ほかの人の打ち合わせのときに映像の話ができたりするのもいい」という。デザイナーの二野慶子さんは「夜仕事をしているときに下から楽しそうな声が聞こえたり、料理のいい匂いが漂ってきたりするときが辛い!」と笑った。「“人だまり”をつくりたかった。人がつながらないと何も起こらないから…。それを意図的につくり出すためのシェアオフィスでもある」と賢太さんが話す通り、彼女たちにはプラスの化学反応が起こっているようだ。なんだか話を聞いているだけでもワクワクしてきて、否応なしに“ここで仕事をしたらどうなるだろうか”などと想像してしまう。

営業時間外に軽食をつくる小久保さん。小腹を満たしてから仕事をするそう。(photo by Yoshimi Yamashita)

営業時間外に軽食をつくる小久保さん。小腹を満たしてから仕事をするそう。(photo by Yoshimi Yamashita)

それぞれが仕事に集中したり、ときに相談したり。新たな仕事が生まれることも。(photo by Yoshimi Yamashita)

それぞれが仕事に集中したり、ときに相談したり。新たな仕事が生まれることも。(photo by Yoshimi Yamashita)

〈17:15〉賢太さんと真紀さんと3人で近くのカレー屋さんへ。腹ごしらえをしつつ「それにしても実業家みたいだね」と私。2012年の夏、彼らは東京からUターンし、実家の“町の中華屋さん”であった林光華園を、鹿児島で初めての中華バルという形態にリニューアルした。2014年には「HAY grill & coffee」に先駆けて同じく名山町に「旅と食堂kiki」を手がけ、今年に入って賢太さんは以前に勤めていた会社からのオファーで、博多駅地下のHakata9にフォーのお店「HAY HAY PHO」のプロデュースとディレクションも担っている。「いろいろやりたいなあとは思っていたけれど、求められたというか、勝手にそうなったというか…。お金以上に働くのが30代、40代の働き方なのかな」と賢太さんから気負いは感じられない。一方、真紀さんも「今は自然なカタチで落ち着いた感じがする」と話す。

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複数のお店を手がける賢太さん。「HAY grill & coffee」では料理人に徹する。(photo by oggysonic)

複数のお店を手がける賢太さん。「HAY grill & coffee」では料理人に徹する。(photo by oggysonic)

〈18:05〉「HAY grill & coffee」へ戻り、コーヒーをいただきながら真紀さんとふたりで話す。彼女とは歳が近いことや、他県から嫁いで来たもの同士という共通点もあって、妙に気が合う。出会った当初から互いの家を行き来したり、たまには夜の街に繰り出したりもした。今思えば、ふたりのときの“鹿児島弁のない空間”も心地よかったのかもしれない。真紀さんが「HAYを始めて友達がお店に来てくれるのがうれしいし、楽しい」というから、私もうれしくなる。鹿児島在住5年目となった林夫妻。彼らは、きっと本人たちが意図する以上に鹿児島の“ステキ!”や“おもしろい!”に影響を与えている。それは私だけに限らず、多くの仲間たちが感じていることだと思う。彼らの洗練されたセンスと感覚、これまでに培ってきた技術と人脈、そのすべてをこの町で発揮している。そして、次なる目標は「名山町にゲストハウスをつくること」だそう。

賢太さんと真紀さん。お客さんのほどんどが彼らに会いに来ている。(photo by oggysonic)

賢太さんと真紀さん。お客さんのほどんどが彼らに会いに来ている。(photo by oggysonic)

〈19:10〉取材という名の下に、少々羽を伸ばし過ぎてしまった。今のところ看板もホームページもない「HAY grill & coffee」。「小さなお店だから来てくれる友達や地域の人たちを大切にしたい」と宣伝をしていないお店なのに「よしみちゃんだったらいいよ」と取材を快諾してくれた林夫妻。素敵な時間をどうもありがとう! そろそろ留守番をしている夫と息子のことが気になってきた。国道3号線を北上し、海辺の小さな町へ帰るとしよう。今度は家族とまた来るね!

桜島の灰が降らない日は“縁側”で乾杯したい!

桜島の灰が降らない日は“縁側”で乾杯したい!

▼店舗情報
HAY grill & coffee
鹿児島市名山町8-7
TEL 099-248-9694
営業時間 18:00~24:00
定休日 日曜
取材・執筆
やましたよしみ

フリーランスの編集者・ライター。鹿児島県薩摩川内市在住。浜松市出身。
大学卒業後、IT関連企業を経て、出版社、編集プロダクションに勤務。
主に女性向けフリーペーパーや実用書、育児情報誌などを制作。
2011年、東京から鹿児島へ移住。2012年よりフリーランスとして活動している。
得意分野は、食と暮らし、アート。一児の母でもある。
■ブログ http://yamashitayoshimi.blogspot.jp

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