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TEGE TEGE BIYORI てげてげ日和

大自然に恵まれ、豊かな食、
魅力的な人が集まる南国・鹿児島—。
「てげてげ日和」では、
鹿児島生活8年目のライター・
やましたよしみが、
鹿児島の素敵な人・モノ・風景などを
ご紹介します。

2017.09.08

【第16回】まーぼー豆腐・福田昌廣さん、頼子さん


豆腐が結んだ縁。麻婆豆腐ならぬ「まーぼー豆腐」の福田昌廣さん・頼子さんご夫婦。

よく“結婚は縁”などというが、この夫婦の場合は豆腐の神様がご縁を結んだ“豆腐婚”だろうか。今回『てげてげ日和』にご登場いただくのは、鹿児島県薩摩郡さつま町で「まーぼー豆腐」をつくる“まーぼー”こと、福田昌廣さんと、奥さんの頼子さん。福岡で出会ったふたりが結婚し、ここ鹿児島で豆腐をつくる、豆腐が結んだ縁の数々をうかがった。

福岡での出会いから鹿児島へUターンするまで。

ふたりが豆腐をつくる拠点にしているのは、鹿児島県薩摩郡さつま町にある二階堂商店。頼子さんの生まれ育った場所でもある。「二階堂さんのところで昔から母が働いていて、実家のような、そんな感覚なんです」と頼子さん。そこに2016年6月、ふたりは福岡からUターンしてきた。昭和28年創業の二階堂商店は、豆腐の製造販売のほかに、野菜などの卸し、店頭販売、仕出しなども行っている。「お客さんに頼まれたら取り扱いのない商品も、買ってでも届けます。要するに、よろず屋ですね」と頼子さんは話す。

神戸出身のまーぼーは、18歳のときに進学のため福岡へ。豆腐屋らしからぬ立派な体格は、学生時代にしていたラグビーでつくられたものだという。卒業後は神戸へ戻りサラリーマンをしていたが、「地元の友達にはものづくりをしている人が多くて、自分でも何かしてみたい」と29歳のときに脱サラ。再び、福岡へ。一方、頼子さんは長崎の短大で栄養学を学び、20歳から40歳までの20年を福岡で過ごした。仕事は、主に飲食店に勤務。キッチンも接客も経験した。そんなふたりの出会いは、頼子さんが働いていた飲食店。まーぼーが仕事で届け物をしたときだという。出会って2回目には「“豆腐をつくりたい”、“うち、豆腐屋だよ”という会話をしてましたね」と頼子さんがいうと、「実家が豆腐屋と聞いて縁があるのかなと思いました」とまーぼーがつけ加えた。

まーぼーがつくりたいものが豆腐の理由、それは「うちの実家も豆腐屋だったんです。市場の中にある豆腐屋で。でも閉店してしまって」とのこと。いつもおいしい豆腐を持って会いに来てくれるふたりだったが、まーぼーがなぜ豆腐にこだわるのか、ビジュアルのイメージとかけ離れ過ぎていまいちピンときていなかったがようやく理解できた。頼子さんとの出会いをきっかけに、福岡の豆腐屋に勤め始めたまーぼー。店頭でがんもや厚揚げなどをつくり、豆腐の加工品について学ぶ。その後、結婚したふたりは現在の二階堂商店を拠点にする。

薩摩郡さつま町の特産品の香辛料“ひらめき”を使った「ひらめき豆腐」。塩で食べても、ポン酢で食べても◎

薩摩郡さつま町の特産品の香辛料“ひらめき”を使った「ひらめき豆腐」。塩で食べても、ポン酢で食べても◎

ひらめき豆腐と魚のすり身を使ってつくった特製がんもどき「もじょ天」。鹿児島弁のかわいいの意味“もじょか”から命名。

ひらめき豆腐と魚のすり身を使ってつくった特製がんもどき「もじょ天」。鹿児島弁のかわいいの意味“もじょか”から命名。

まーぼーのこだわりと頼子さんのバランス感覚。

創業当時から勤める70代のパートのおばあちゃんもいるという二階堂商店。それでもまーぼーは、ここでのやり方を学びつつ、自分のこだわりを貫く。まーぼーは「豆腐は、大豆、井戸水、にがりの3つだけでつくります。もともと使っていたものに、豆腐をつくるときにできる泡を簡単に消す添加物があって調べるとそんなに身体に悪いものでもないんです。でも、手間をかければ泡は消せるので、添加物は入れない。入れたくない」と語る。また、仕出しなどでお弁当やお惣菜を手がける頼子さんも「自分がつくって人に食べてもらうなら変なものはつくりたくない。つくりたい味っていうのは、万人に愛される味かな。こだわり過ぎたこともあるので、今はバランスが大事と思っています」という。

できたての木綿豆腐をカットするところ。ていねいに作られた豆腐は衝撃的な旨さ。

できたての木綿豆腐をカットするところ。ていねいに作られた豆腐は衝撃的な旨さ。

お店のある鹿児島県薩摩郡さつま町は、高齢化も過疎化も進みつつある田舎町だ。「帰ってきた当初は孤立してしまうのでは、と思っていたんです。けれど、探せば同世代でも地域を盛り上げようとがんばっている人たちがいたんですね」と頼子さん。だからこそ「どんどん自分たちから出向いて行こうと思って。少し遠くても、今はイベント出店なども積極的にしています」とまーぼーも話す。現に、私たち家族の元へもふらりと尋ねて来てくれたのが出会いのきっかけ。ふたりが豆腐屋だと知ると、初対面にもかかわらず夫が「卵アレルギーの息子が食べられるお豆腐のおやつをつくって」と図々しいリクエストをしたのだった。そして、ふたりはそれを叶えてくれた。

イベント出店などでも大好評! やさしい味わいの豆腐ドーナツ。今のところイベントのみの限定販売。

イベント出店などでも大好評! やさしい味わいの豆腐ドーナツ。今のところイベントのみの限定販売。

豆腐が導く。「まーぼー豆腐」の未来の話。

最後に今後の展望についてうかがうと、「近い将来、二階堂商店で豆腐づくりをしながら、その豆腐を販売したり、食事ができたりするお店をオープンしたいです」とまーぼー。頼子さんも「この辺りは私が子どもの頃とあまり変わらない町なんですけど、地元にも行く場所を探している人たちがいるので、そんな方が気軽に来てくださるお店ができたら、と思うんです」と話してくれた。取材当日は、偶然にも彼らがUターンしてちょうど一年の記念すべき日。豆腐が結んだ縁は、豆腐が豊かな日々を紡ぎ出し、豆腐が未来へと導いてくれるようだ。これぞまさに豆腐婚!

いつも笑顔で接してくれる福田夫妻。「まーぼー豆腐をよろしくお願いします!」。

いつも笑顔で接してくれる福田夫妻。「まーぼー豆腐をよろしくお願いします!」。

▼二階堂商店薩摩郡さつま町宮之城屋地2070-4
TEL 0120-262-323
営業時間 9:00~18:00
定休日 不定休

*まーぼー豆腐は以下の店舗でも購入可能です!
宮之城ちくりん館(ひらめき豆腐のみ取り扱い中)
http://www.satsuma-net.jp/nogyo/kanko/tokusanhin/nosanbutsu/chikurinkan.html

*まーぼー豆腐のイベント出店情報は、
福田昌廣さんのFacebook・Instagramよりご確認ください。
https://www.facebook.com/masahiro.fukuda.370
https://www.instagram.com/mabow_f/

取材・執筆
やましたよしみフリーランスの編集者・ライター。鹿児島県薩摩川内市在住。浜松市出身。
大学卒業後、IT関連企業を経て、出版社、編集プロダクションに勤務。
主に女性向けフリーペーパーや実用書、育児情報誌などを制作。
2011年、東京から鹿児島へ移住。2012年よりフリーランスとして活動している。
得意分野は、食と暮らし、アート。二児の母でもある。
■ブログ http://yamashitayoshimi.blogspot.jp

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