2018.09.03
第38回 水力奮闘記⑭
「完成したら、一息つける。」 という期待は外れてしまいました。ドイツ人技術者が来て水車の調整。大雨の対応。増速機(Vベルト)の調整、取水口に詰まるゴミの対応。「この川にこんなにゴミが流れてたっけ?」と思うくらい、ゴミ対応に追われています。落ち葉、草刈後の青草、竹、ウリ坊に大根、ビニール袋や空き缶。ゴミが詰まるとうまく取水できず、出力が下がってしまいます。そこに水があるのに、発電できない。というのはこの発電所を手がけたものにとっては、この上なく歯がゆいものです。どうにかしてゴミを詰まらせないで、流れる水を上手に使わせてもらいたいと思案に暮れる毎日です。こんなにも雨が降らないものか?と思っていたら、大雨や台風で土砂降り。降りすぎだよと思うと、また2週間近く晴天が続く。そんな梅雨と梅雨明け。雨が降ると気分が晴れて、天気が続きすぎると心が曇ってくる、そんな変な境地を体得しました。自分でもなんだか面白い感じです。大雨で増水すると、危なくて取水口には近づけません。水位が下がるのを指をくわえて待ち、ゴミを取り除いて運転を再開します。雨が降らないと水量は次第に少なくなり、こうしてまた雨を待ち望む気持ちになっていくのです。
─文:新エネルギー推進チーム 及川