2023.10.01
第99回 ネイチャーポジティブ①
ネイチャーポジティブという言葉を聞いたことはあるでしょうか?
ネイチャーは“自然”、ポジティブは“プラスの状態”という意味で、
「生物多様性の損失を食い止めて、回復させる」ことです。
「生物多様性」とは「生きものたちの豊かな個性とつながりのこと。
地球上の生きものは40億年という長い歴史の中で
3,000万種ともいわれる多様な生きものが生まれました。
これらの生命は一つひとつに個性があり、全て支えあって生きています。
生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性という
3つのレベルで多様性がある(環境省HPより筆者が一部編集)」そうです。
さてこのネイチャーポジティブですが、どうして大切なのでしょうか?
1970年から2018年の間、調査対象の野生生物は約70%も減少しているそうです(グラフ1)。
またサンゴは危機的状況で、すでに約半分が地球温暖化による
海水温の上昇が原因で死滅しているとのことです。
「なんてこった!」とつい叫びたくなり、
この惨状に同時に目を覆いたくなるような気分になってします。
読者の皆さんはどう思われたでしょうか?
私たちの生活は母なる地球の豊かな動植物、土、海、水、鉱物などに依存しています。
それはまさに赤ちゃんがお母さんに守られているみたいです。
生物多様性を失うことは、赤ちゃんが保護者を失うようなものです。
なぜなら生物多様性こそが今の地球の絶妙な循環システムを維持し、
私たちに生活空間と食料、その他資源を提供してくれているからです。
(つづく)
グラフ1:生きている地球指数(1970年~2018年)
調査対象とした世界全体の5,230種、31,821の個体群は平均で相対的に69%の減少を示した。
白い線は指数値を示し、色のついた部分は統計信頼区間を示す(統計信頼区間95%、範囲63%~75%)。
出典: WWF/ZSL (2022)
出典:生きている地球レポート 2022
https://www.wwf.or.jp/activities/data/20221013lpr_02.pdf