2023.11.01
第100回 ネイチャーポジティブ②
進行している生物の多様性の損失を食い止め回復させよう、
というのがネイチャーポジティブの考え方だと前回書きました。
国際的には2030年までに陸と海の30%以上を保全・保護することを目指しています。
30by30(サーティ・バイ・サーティ)と名付けられたこの取り組みは、
国立公園や自然保護区などに加えて企業や寺社などの山林や里山なども
生物多様性の保全にとって効果的な地域(OECM)として認定し、
包括的に生物多様性を回復しようという試みです。
大型の動物、特に肉食動物にとって生息域(行動範囲)は広大な範囲になります。
ですので、広い面積を保護地域とすることは非常に理にかなっています。
例えば鹿児島の八重山でも確認されているクマタカの生息域は10k㎡~35k㎡程度※のようですので、
なんと東京ドーム500個分(23k㎡とすると)くらいになります。
大型の動物だけでなく小動物たちにとっても
分断された生息空間ではなく連続的なつながりがある空間(コリドーなど)が
あるか無いかはまさに生死にかかわります。
そういう意味ではこの30by30要チェックです。
ちなみにクマタカは環境省のレッドリストで
「近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの」とされていて、
日本の最小推定個体数は1800羽※しかいないそうです。
※出典:猛禽類保護の進め方(改訂案)― 特にイヌワシ、クマタカ、オオタカについて ―
環境省(https://www.env.go.jp/press/files/jp/20265.pdf)
画像出典:環境省HP(https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/)