2025.01.01
第9回 囲炉裏今昔物語
古民家の中心には囲炉裏があります。
高い茅葺き屋根の下、その熱が空気の対流を生んで家全体を暖め、立ちのぼる煙は屋根を守ります。
そして何より、炉を囲む家族の集いが、朝に夕に自然と暮らしの中に生まれていました。
気密性が高い現代の家では、囲炉裏は必ずしも必要ではありません。
しかし、さまざまな器具に囲まれた私たちは、一つの炎が繋ぐ縄文からの暮らしの知恵に、いまだ驚かされます。
その温もりとシンプルさは、今もどこかで心を惹きつけるのです。
囲炉裏の姿は消えていません。
卓上型や床収納型など、形を変えて現代の暮らしに息づいています。
炎が持つ心の暖は、時を越えて、人々の暮らしを静かにあたため続けています。