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FLAME STORIES 炎がたり

人間の歴史に深く関わり、
生活する上で大切なエネルギーとしての役割を果たしてきた「炎」。
近年ではオール電化が普及し、
暮らしの中で「炎」の存在感は消えつつあります。
このコラムでは炎と人間の関係に着目し、
どのように私たちの文化に影響を与えたのかをご紹介します。

2022.03.23

第7回 江戸の火消

画像:いろは組みが目的としていた様々なデザインの纏(まとい)

「火事と喧嘩は江戸の華」。
喧嘩っ早いのが江戸っ子の代名詞ですが、木造長屋が密集しているため、
生活の炎が燃え広がるのもとにかく早かったようです。

当然、消防システムも発達し、
幕府直轄の「定火消」や「大名火消」という公的消防署もあったほど。
しかし、江戸城と武家屋敷を守るのみのお役所仕事ですから、
町人は自分たちで身を守るしかありませんでした。

そうした中で8代将軍・徳川吉宗が行った「享保(きょうほう)の改革」で生まれたのが、
町人自らの出費で守る「町火消」。
「いろは組」という、47文字に「ん」を加えた48組に分かれ、
組織的に江戸を守ったそうです。

当時の火消しはとにかく延焼させないことが目的。
火事場を鎮火させるような手段はまだありませんでしたから、
ひたすら風下の建物を破壊・分解して燃え広がらないようにするのが主な活動でした。
火事のたびに自分の家が壊されるというのは、
現代の私たちの感覚ではにわかに受け入れがたいですが、
炎と共生しようとした江戸の人々の人間力が、
現在の消防の礎をつくり、今でも私たちの生活が守られています。

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