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少しづつですが、進んでいく研究成果や
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2021.04.01

【太陽ガスActions特別対談(前編)】太陽光パネルから考える、 未来のエネルギーと幸せな暮らし


南九州市川辺町にある廃校を再生した自然体験施設「リバーバンク森の学校」に太陽ガスが施工した太陽光パネルが設置されました。
そこで、同施設を運営する一般社団法人リバーバンクの代表理事 坂口修一郎さんをお迎えし、自然エネルギーや環境問題、未来の暮らしなどについて、弊社の及川斉志と対談形式でお話を伺いました。

——まずはリバーバンク森の学校について教えてください。

坂口 リバーバンク森の学校は、学びをテーマに廃校(旧長谷小学校)を再生した自然体験施設です。この学校は1885年に創立されて1990年に廃校となりましたが、その後は行政の持ち物になり、イベント会場などとして活用されてきました。木造の講堂は1933年に地元大工の手によって建造された歴史ある建物です。

ぼくがこの学校に出会ったのは2010年。グッドネイバーズ・ジャンボリー※というイベントの会場を探していた時でした。コンセプトに合致したのでそれから毎年利用していましたが、2016年の熊本地震をきっかけに取り壊しの話が持ち上がりました。たしかに老朽化が進んでいたので、安全性に対する指摘はもっともでした。でもその時にふと、地域の学び舎としてたくさんの人を送り出した、日本の教育の原風景を無くしていいのだろうかと思ったんです。

ただでさえ鹿児島市内の建造物は第二次世界大戦の時に約93%消失していますし、高温多湿な気候も関係あるのか、古いものがあまり残っていません。地域の資源をどうにか残せないかと思って行政に掛け合ってみたところ、交付金の申請が通って予算が付くことに。それで2018年に一般社団法人リバーバンクを設立し、リバーバンク森の学校として運用することになりました。

——その後、どのような経緯で太陽光パネルを設置することになったのでしょうか。

坂口 そもそもリバーバンク森の学校は、名前が示すように森の中にありますし、学校がある川辺という地域も古くから自然と共生する文化を持っています。しかし活動をすれば多少なりとも環境にインパクトを与えてしまうので、それを小さくするための方法をいろいろ模索していました。

そうしたなかで、2019年夏にSDGs(持続可能な開発目標)に関する会議が鹿児島で開催され、出席することになりました。すると偶然にも、同じテーブルの人が再生可能エネルギーについてのプレゼンテーションをしていて……あっ、相談できる人がいた!と思って声をかけたのが及川さんでした(笑)。

及川 声をかけていただいてうれしかったです(笑)。その後すぐに坂口さんの事務所に伺って、太陽光パネルを設置したい理由や、歴史ある場所を活かして次世代に伝えたいことなどの詳しいお話を聞きました。私も再生可能エネルギーの利用が大事だと考えて太陽光発電や小水力発電の普及に取り組んでいるので、坂口さんの想いに共感し、ぜひお手伝いしたいと申し出ました。

——太陽光パネルを設置したいちばんの理由は何でしょうか。

坂口 嘘を一つ減らせるからです。リバーバンク森の学校での活動は、「再生」が大きなテーマになっています。校舎自体も修復で再生しているし、放置林だった周りの森にも手を入れて再生を図っています。

だからエネルギーも、再生可能なものを利用していないとつじつまが合わないし、嘘になってしまいます。もちろん、さまざまな課題があるので100%再生可能エネルギーにすることは難しいですが、太陽光パネルを設置することで一歩一歩でもそこに近づけたい。嘘をゼロにできなくても、一つひとつ減らしていきたいという想いがありました。

想いが共有できること、次世代につないでいくこと

——太陽光パネルの設置はどのように進んだのでしょうか。

及川 当初のご相談は、太陽光パネルと蓄電池を設置したいというものでした。しかし現時点では蓄電池の費用対効果が高くないので、まずは太陽光パネルからというご提案をしました。

坂口 それを受けてパネルの規模を決め、必要書類を整えて行政に申請しました。及川さんとは2020年の4、5月くらいに設置できるといいねという話をしていましたが、売電を開始できたのは同年12月25日。想像以上の時間がかかりました。

及川 行政の持ち物のため、関係各所の了承を得るのに時間がかかりました。それでも、リバーバンクさんが強い想いで協議してくれました。

坂口 行政とのやりとりを重ねるなかで感じたのは、現代人の暮らしにおいて電気がもっとも重要なインフラの一部なのではないか、ということでした。だから、さまざまな立場から尋ねられても整合性が取れる資料や説明が求められたのだと思います。

たとえば今回のパートナーシップにしても、地元業者がいるにも関わらず、なぜ太陽ガスなのかを説明する必要がありました。想いだけではダメなんです。そのため他の企業を調べたり、さまざまな話を聞いたりした上で、あいみつも取りました。

及川 そうした行政とのやりとりの一方で、坂口さんは弊社にも来てくださり、取締役に会って直接想いを伝えてくれました。リバーバンク全体の方向性や気持ちを太陽ガスとして理解できたので、社としてサポートできるようになったと思います。

坂口 やっぱり人ありきだと思うんです。人間に人柄があるように、組織にも人柄があります。リバーバンク森の学校のような活動においては、想いを共有できなければ一緒にやる意味がありません。太陽光パネルは長く置いておくものなので、メンテナンスも含めて太陽ガスなら安心してパートナーを組めると思えたことが大きかったですね。

——完成したことによって周囲に変化はありましたか。

坂口 完成から約3カ月後の2021年3月7日に、リバーバンク森の学校で地域イベントを開催し、及川さんともう一人をお招きして再生可能エネルギーについてお話しいただきました。実はこのイベントを発案・企画したのは、ぼくが代表を務める会社に春から入社する大学生なんです。

彼は入社前のアルバイトを通じて、太陽光パネルが設置されるのを見たり、森の開拓を手伝ったりしたことでリバーバンク森の学校の意義を自分なりに考え、「地域の方にもっと知っていただくために、イベントを企画したい」と自発的に提案してくれました。

彼らの世代は、ぼくらの世代よりもはるかにセンシティブに環境問題について考えていると思います。それでも、書籍やYouTubeで知ったからではなく、ぼくや会社の人間から言われたからでもなく、リバーバンク森の学校での体験をきっかけに自ら行動を起こしてくれました。そういう想いになってくれた次世代の子が一人でもいるということは、まずは一つ、よかったと思っています。

及川 イベントには地域の方もいらしてましたよね。

坂口 地域の方も、若い人たちが来て少しずつ関わりをもってくれるようになったことを喜んでくれています。若い世代が頑張っている姿は、いろいろな好影響を与えているのではないかと思います。

※グッドネイバーズ・ジャンボリー:坂口さんが2010年から主宰している野外フェスティバル。「みんなでつくる文化祭」をテーマに、さまざまな音楽ライブやワークショップを実施しています。

<後編に続く>

プロフィール坂口修一郎音楽家/プランニング・ディレクター
BAGN, Inc.代表
一般社団法人リバーバンク代表理事
Mammoth, Inc.代表 CLO(Chief Learning Officer)

1971年鹿児島生まれ。音楽家として活動する一方、野外フェスティバル〈グッドネイバーズ・ジャンボリー〉を主宰。東京と鹿児島の二つの拠点を中心に、日本各地でオープンスペースの空間プロデュースやイベント、フェスティバルなど、ジャンルや地域を越境しながら数多くのプロジェクトを手掛けている。

及川 斉志2012年入社 新エネルギー推進チーム
みずいろ電力取締役

北海道大学理学部、ドイツフライブルク大学森林環境学部卒業。再生可能エネルギーの普及を目指して、これまでに鹿児島県内12カ所の自然エネルギー発電所建設に携わる。これからのライフスタイルに合った電気を考える『未来電気研究所』も好評連載中!https://taiyo-gas.or.jp/cms/k-cat/e-lab/

 

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