2020.11.02
第64回 ウミガメと巨大風力③
前回からのつづき
さてそれでは地域のメリットはデメリットやリスクと比較してどちらが大きいのでしょうか?デメリットとしては工事・稼働・撤去による自然環境や生態系への負荷、渡り鳥やウミガメなどの動植物へ与える影響や、景観を改変してしまうことです。リスクとしては台風などによる風力発電設備の損壊による2次災害があると思います。メリットとデメリット・リスクの比較は個人によっても大きく違いますので一概には言えませんが、例えば、巨大風力発電ができたことによる影響(例:「動植物の生態が変わってしまった」)を建設前の状態に戻すために必要なコストでの比較は可能です。一種の“外部不経済”(※2)の考え方と言えます。具体的には、あくまで例ですが、ウミガメの到来数が減った。渡り鳥の飛行ルートが変わり生態系が変化し、植生が変わった。これを変化前に復元するのにかかるコストです。このコストと地域で得られるメリットの比較をします。詳細な算出は難しいものの、イメージはできるかと思います。また、景観が変化したことにより観光客や移住者が減少した(あくまで例です)。これを変化前に戻すコストです。 (※2:外部不経済とは社会的損失である。それを「だれが負担するの?」ということについて、ここでは地域が負担することになる可能性がある。発電事業者が負担することを内部化という。)
12月号へ続く
吹上浜
─文:新エネルギー推進チーム 及川