2025.08.04
第121回 「水の都を静かに走る―電動とガソリン、ふたつの遊覧船」
ひおき地域エネルギーの中尾です。
先日、島根県松江市の堀川めぐりで電動遊覧船に乗りました。
モーターだけで進む船はとても静かで、船頭さんの案内や川岸の物音までクリアに聞こえます。
歴史ある掘割の風情をしっとり味わえる、新鮮なひとときでした。
続いて、従来型のガソリン船にも試乗。
こちらはホンダ製のガソリン船外機を積んだタイプです。
思ったより音も振動も抑えられており、「最近のエンジン技術は進歩しているんだな」と感心しました。
航続距離や運用のしやすさはガソリン艇に軍配、静けさは電動艇が一歩リード、そんな印象です。
電動艇には運用面に課題があります。
1日に1隻で堀川8周をめざす場合、二輪用バッテリーパック(2個1組)を
3セット=計6個用意し、2周ごとに交換。
充電時間や保管スペースを考えると、いまは電動艇2隻ほどが実用的な上限なのだそうです。
堀川の向こうにそびえる国宝・松江城は四百年を越えて町の象徴として佇み、
その足元を最新の電動船と進化したガソリン船が行き交います。
小さな電動推進機も、伝統と技術革新を結ぶ新しい“水辺のシンボル”になりそうだ―
そんなことを考えた出張でした。